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20世紀になって、“ものづくり”を基礎に経済活動が活発化し、特に欧米や日本の社会では生活水準が向上して豊かな社会が実現しました。20世紀も四半世紀を残すところまできた1972年に、スウエーデンのストックホルムで国連人間環境会議が開催され、環境問題を人類に対する脅威と受け止める考え方が世界中に定着しました。21世紀には、後始末まで考え抜かれた“ものづくり”の技術体系につくり変える必要があります。
現在、日本では経済活動や市民生活を支える電力の35%が原子力発電により賄われていますが、エネルギー環境に係わる分野は、今後、ますます重要性を増すものと思われます。資源に極めて限られた経済大国日本のエネルギーを安定的に確保し環境保全を維持する上で、原子力の利用は数少ない現実的な選択肢の一つです。今後、燃料電池が普及しはじめて水素の利用が急激に拡大することになっても、大量の水素製造に化石燃料を用いたのでは、全体としてのエネルギー効率は向上せず、特に製造地域では環境の悪化が懸念されます。そこで需要に応える膨大な量の水素を原子力により製造することが有力な選択肢の一つになるものと考えています。
その一方で、原子力の利用では、放射性廃棄物の発生は避けられません。20世紀型の“ものづくり”社会ではせいぜい100年程度先までしか考えない取り組みでした。放射性廃棄物処分の安全確保に関する研究をはじめ、化学毒物の処理処分では、これでは立ち行きません。信頼できる設計を行ない、処分場を建設し処分を実施に移すには、極めて長期の環境影響の評価方法、そして環境材料の開発を進める必要があります。この研究分野は21世紀の人類の存立にかかわる極めて重要なものです。
本研究室は、放射性廃棄物の後始末に関する研究に主力を注ぐことを通じてエネルギー環境問題に応えようとする、世界でも数少ない大学の研究室です。
*放射性廃棄物の中で、放射性の毒性が最も高い高レベル放射性廃棄物は、放射性物質をガラス成分とともに高温で溶融して固めた「ガラス固化体」として最終的に処分されるものと思われます。わたしたちが生まれてから80才まで、仮に電力の50%を原子力発電でまかなうとすると、発電にともなって発生するガラス固化体はゴルフボール3個分と極めてわずかなものです。